[名刺交換のマナー]相手に好印象を与える名刺交換の仕方
2016/10/19
名刺交換は、ビジネスの場において初対面の人と顔を合わせたとき、避けては通れない非常に重要なコミュニケーションの一つです。
ビジネスパーソンにとって名刺交換は大切な儀式のようなもので、名刺は自分を自身を表す「顔」であると言えます。
営業する上で大事なのは第一印象と言われていますが、「顔」である名刺を交換するときのマナーは第一印象に直結します。
名刺交換のマナーが悪いと、相手に「この人は失礼だな」「この人は信用できないな」「時間の無駄かな」などの悪い印象を与えてしまい、いくら良い仕事をしていても信用してもらえないかもしれません。
プライベートでは第一印象が悪くても挽回する機会はいくらでもありますが、ビジネスの場では第一印象が悪いと「2度目は無い」ことが多いです。
そんな失敗がないように、今回は名刺交換のマナーを徹底的に解説します。
間違った名刺交換の仕方を続けていて、知らないうちに損をしているという方もいるかもしれませんので、新入社員の方だけではなく営業の成績に悩んでいる方も今一度ご確認ください。
名刺交換のマナー
名刺交換の順番
名刺交換は、目下の人から目上の人に対して先に名刺を差し出すのが、基本となっています。
ビジネスにおける目上、目下とは、以下のとおりです。
- 目上:お金を出す、仕事や案件を提供する立場
- 目下:お金をいただく、お仕事をいただく立場
したがって、営業をするときは常に自分から先に名刺を差し出すことになります。
相手に先に名刺を差し出された場合は必ず「申し遅れました」と添えるようにしましょう。
営業関係以外の場合では、社会的地位が高い人より低い人、訪問先より訪問者のほうが目下になります。
自分の上司や部下と共に名刺交換をする場合にはより役職が高い者から名刺を差し出します。
また、自分側と相手側の双方とも複数人で名刺交換をする場合はさらに複雑になりますので、この後のセクションでじっくり解説します。
名刺交換の位置
名刺交換は必ず双方が立った状態で行います。
座って待機していた場合、相手の姿が見えたらすぐに立ち上がって出迎えます。
名刺交換は机やテーブルを挟んで行うのは失礼とされていますので、机やテーブルがある場合は回り込むなどして、相手の側へ移動し、名刺交換をしやすい位置に立ちます。
もしも相手が座ったまま名刺を差し出してきたとしても、こちらは立ち上がった状態で受け取りましょう。
名刺と名刺入れの持ち方
名刺と名刺入れの持ち方は、名刺を差し出すときと受け取るときにも重要になりますので、初めのうちは意識して体に覚えさせましょう。
- 名刺入れを取り出し、胸の高さの位置で持ちます。
- 名刺を取り出し、親指と人差し指で名刺をはさみます。
- 名刺の向きは、相手が文字を読める向きにします。
- 名刺入れは、輪になっているほうを相手に向けます。
- 名刺と名刺入れのあいだに人差し指が入るように両手で持ちます。
- 名刺を差し出し相手が受け取ります。
ちなみに、名刺入れの「輪」というのは、ふたをかぶせたときの折り目のほうです。
- 名刺が横型の場合は、名刺入れの輪が相手側に向くようにする。
- 名刺が縦型の場合は、名刺入れの輪が自分の右手側にくるようにする。
名刺入れは人柄が表れる小物と言われていますので、ビジネスの場ではあまり派手な名刺入れは使われません。
名刺を差し出す前に、名刺が汚れていないか必ず確認しましょう。
ポケットやお財布から直接名刺を出したり、よれよれの名刺、折れ曲がっている名刺、汚れている名刺を渡すことのないようにしましょう。
名刺の差し出し方
名刺を差し出すときは、目下のほうから先に「社名・部署名(の)名前(と申します。)」をはっきりと名乗り、軽くお辞儀をしてから名刺を差し出します。
実際には姓だけを名乗る場合も多いですがフルネームを名乗った方がより丁寧な印象を与えます。
相手の方が立場が上のときにはフルネームを名乗るように心がけましょう。
名刺は脇を締めて、胸の高さで両手で持ち、上に向けて弧を描くように差し出します。
この時、相手が差し出した名刺の高さよりも低い位置で差し出すことで、謙虚さを表すことができます。
名刺交換のときは手元に視線を落としがちですが、相手の目を見ながら差し出すように注意しましょう。
このとき自然な笑顔を作れると非常に良いです。慣れないうちは緊張して笑顔を作るどころではないかもしれませんが相手に好印象を与えるためには非常に重要です。
また、名刺交換の時には、相手の親指に必ず目が行きます。
爪の中が汚れていたり、ネイルがはがれていたり、ささくれてたりすると、相手に「だらしない」という印象を与えてしまう可能性がありますので、注意が必要です。
名刺の受け取り方
相手が名刺を差し出したら、軽く会釈して「頂戴いたします」と言いながら、必ず両手を添え、名刺入れの上で大切に受け取ります。
この時に、相手の会社のロゴや氏名などに自分の指がかからないように注意しましょう。
名刺を受け取ったら、自分の胸より高い位置で社名や肩書き、名前などに目を通します。
何か気になるところがあったら状況を見てたずねてみましょう。
相手の名前を復唱したり、読みにくい漢字などあれば、「何とお読みすればよろしいでしょうか?」と尋ねるのは失礼ではありませんので、後々聞かずに勘違いすることがないようにその場で正確に確認するようにしましょう。
受け取った名刺をすぐに名刺入れにしまったり、机やテーブルに置いたりすると、あまり印象が良くありません。
また、相手の名刺を不必要に触るのも失礼にあたるとされています。
目上の人に先に名刺を差し出された場合
目上の人から先に名刺を差し出された場合は「申し遅れました」と言って、すぐに自分の名刺を差し出します。
このとき、相手が差し出した名刺の高さよりも低い位置で差し出し、目上の人が受け取った後に、目下の人が受け取ります。
また、目上の人より先に名刺を受け取るのは失礼にあたりますが、相手を待たせるほうがもっと失礼です。
自分が名刺入れを探している間に、相手がすでに名刺を差し出している場合は、相手を待たせしないように「お先に頂き、恐れ入ります」などと言って、いったん名刺を受け取り、その後に「申し遅れました」といって自分の名刺を差し出します。
反対に、相手が名刺を差し出す準備ができていない場合は、相手の準備が整うまで、こちらも名刺を差し出さずに待機します。
「待たせる」という失礼な行為を、相手にさせないための配慮です。
名刺を同時に交換する場合
最近では目上、目下に関係なく、名刺を同時に交換する方法が主流となってきています。
その理由には、日本人特有の謙虚な性格が大きく関わっていて、「自分が先に名刺を受け取ると、相手を目下とみていることになってしまう。」という考えから、なかなかお互いが名刺を受け取らないという状況が、名刺交換の際に良く起こるからです。
- 脇を締めて、胸の高さで右手で名刺、左手で名刺入れを持ちます。
- 自分の名刺を右手で差し出し、相手の名刺入れにのせ、左手で相手の名刺を、自分の名刺入れの上にのせて受け取ります。
- 相手が左手でこちらの名刺を持ったら、自分の空いた右手を相手の名刺に添えて、両手で受け取る形にします。
- 自分の胸の前に引き寄せて、社名や肩書き、名前などに目を通します。
名刺を置く
相手から受け取った名刺は、机やテーブルの上には直接置かず、自分の名刺入れの上に乗せ、自分から見て左斜め前に置きます。
名刺入れに乗せられる名刺は1枚だけです。複数人から名刺を受け取った場合についてはこの後に解説します。
名刺をしまう
名刺を名刺入れにしまう動作は、打ち合わせや商談がそろそろ終わるという時の合図になります。
名刺をしまうタイミングは、その場の雰囲気によって判断します。
相手がまだ名刺を出しているのに、自分だけ先にしまうのは失礼にあたります。
複数の人と名刺交換するときのマナー
複数の人と名刺交換するときの順番
訪問先の役職が上の人が一番目上となり、自社の役職が上の人から順番に名刺交換を行います。
自社 | あなた、課長、部長 |
訪問先 | 担当者、担当者の上司 |
- 自社の部長と担当者の上司
- 自社の部長と担当者
- 自社の課長と担当者の上司
- 自社の課長と担当者
- あなたと担当者の上司
- あなたと担当者
担当者の上司の前に自社の3人が並んで、順番に名刺交換を行いますが、空間が狭い場合には、上司の名刺交換が終わるのを待つようにしましょう。
複数の人と名刺交換するときの名刺の扱い方
名刺交換を始める前に、人数分の名刺を名刺入れの下で自分の名前を相手向きにして指で挟み、取り出しやすいようにしておきます。
この時、相手の人数が多かったり、数える暇がない場合は多めに準備しておきます。
名刺を受け取ったら、次の相手との名刺交換を始める前に、受け取った名刺を名刺入れの下やフタや下に移動させます。
名刺入れの上で複数の人の名刺を重ねていくのは不格好で失礼にあたります。
複数の人の名刺の並べ方
複数の人と名刺交換をした場合は、机やテーブルの上に役職順ではなく名前を覚えるためにも座席順に名刺を並べます。
役職の一番高い人の名刺を名刺入れの上に載せるようにしますが、人数が多い場合は一旦自分の名刺入れをしまい、すべての名刺を机やテーブルに並べても問題ありません。
また、通常ですと受け取った名刺をすぐにしまうのは失礼にあたりますが、机やテーブルの上に書類などが広がっており、名刺を置くスペースがない場合は、軽く一礼してから受け取った名刺を名刺入れにしまうという場合もあります。
名刺を持っていない場合
名刺を忘れたり、切らしているのは、マナー以前の問題です。
しかし誰しも時にはうっかり名刺入れを忘れたり名刺を切らしてしまうこともあります。
日頃から余裕を持った枚数を用意しておくべきですが、相手が予想をはるかに上回る大人数だったり、突然のゲリラ豪雨で名刺が濡れてしまったり、もしもの時のことを想定して対策を講じておくのもビジネススキルのひとつと言えます。
名刺がない場合は「大変申し訳ございません。現在、名刺を切らしてしおります。」とお詫びをし、相手の名刺を受け取る際には口頭で社名と名前を告げます。
忘れた場合でも「忘れました」というのではなく「切らしておりまして」と言いましょう。
そして、後日名刺を郵送するなどして対応します。
この時に詫び状を添えると丁寧な印象を与えます。
一度は悪い印象を与えてしまうかもしれませんが、その後の対応をしっかりすることで、印象を変えることができるかもしれません。
名刺を管理する
相手から受け取った名刺を大事にするの当然ですが、営業職の男性がこれまで受け取った名刺の枚数の累計は20代で平均約400枚、40代で平均約2,000枚と、とんでもない枚数になっています。
日付や特徴、内容などは名刺にメモをしておくと忘れませんが、五十音順や業種、時系列で保管していても、その名刺をどこにしまったか全てを把握するのは不可能に近いので、探すのが非常に困難な状況になります。
1000枚以上保管できるような名刺ケースもありますが、それよりも名刺管理ツールで管理するほうがスマートです。
名刺をデジタルデータ化して保管や情報の編集、検索などができるためクラウド名刺管理サービスを利用するのがよいでしょう。
名刺には、相手の連絡先や所属部署などの大切な会社情報が記載されているので、名刺を整理していて不要になった名刺があった場合は、そのまま捨てるのではなくシュレッダーにかけるなどの配慮が必要です。
まとめ
名刺交換はビジネスパーソンにとって、避けては通れない非常に重要なコミュニケーションの一つですが実際のビジネスの現場では、きちんとこなせていない方が多いのが現状です。
つまり名刺交換のマナーをしっかり身につけて守ことで、信頼を獲得し好印象を与えることができます。
正しい名刺交換で安心感を与え、スムーズに商談を行いましょう。