ネイティブはShallを使わない?Shallに代わる「しませんか?」の英語表現
2017/01/29
近年の英語学習では、試験用の英語知識ばかりを詰め込むという良くない習慣から離れてより実用的で実情に近い英会話能力を求める動きになってきました。
そんな中、英語学習者の間でも頻繁に疑問としてあがるものの1つに「"shall"は英語圏では使われていないのか?」という問題あります。
web上のフォーラムなどでもよく見かける議論でもあり、「"shall"は死語でもう使わない」という意見が多いようですがその正否はどうなのでしょうか。
今回は英語圏での「shall」の扱い方の実情とそれに代わる表現についてまとめました。
ネイティブは「shall」を使わないの?
まず最初に現在の実情を見た上で結論を挙げておくと次のようになります。
「shall」はアメリカでもイギリスでもほとんど使われないが人によってはたまに使う。
やはり「shall」が使われない理由としては少し古臭く感じたり気取った印象や仰々しい印象があるからというのが大半でしょう。
もちろん「古臭い」といっても日本語で言うところの「~でござる」というように「いつの時代の人だろう」と思われるような極端なものではありません。
一昔前の恋愛映画のセリフなどにはよく使われていそうな少し古風な印象を与える表現ということです。
だからといって「shall」が全く使われない訳ではないようです。
現状として「shall」という言葉を一切使わないという人は多いようですが、たまには使っているという人はまれに見受けられます。
例えば日本でも、女性に声を掛ける際に「お嬢さん、ちょっと宜しいですか?」というように「お嬢さん」という言葉を使う人はごく少数であると思われます。
「お嬢さん」と聞くと少し気取った印象がありどちらかと言えば年配の方が使うことが多いように感じる言葉でしょう。
それと同じように「shall」は一般的な会話ではあまり使われていないと言えます。
ただし、個人の喋り方といいうのは一定ではありませんから、「shall」の使用についても年齢性別に関係なく、何かの拍子に使ったり、おどけて使うという状況は十分にありえます。
米国と英国は事情が違うの?
英語を母語とする国で代表的なものと言えばアメリカとイギリスですね。
この2国は文化的な違いもあるためか「shall」の扱い方についても多少違いがあるという意見もあります。
これらの意見で顕著なものとして「アメリカは「shall」をほとんど使わないがイギリスは若者でもときどき使う」というものもあるようです。
しかしながら、イギリスにおいても日常的に時折「shall」を使う若者は少数派と言えるでしょう。
付加疑問文なら使う?
「Let's ~」を使った付加疑問文であれば「shall」を使用するという意見があります。
付加疑問というのは、一般的な肯定文の最後に「isn't it?」や「don't you?」など疑問文を付け加える文章のことです。
最後に疑問文を加えることで相手に同意を求めるようなニュアンスになります。
It's very hot today, isn't it?
今日はすごく暑いね。
誰かを誘ったり提案を出したりする際の「Let's ~(~しようよ)」という表現をこの付加疑問文の構文にした際には「shall」が使われるとのことです。
例としては「Let's go to the party, shall we?」という形ですね。
こういった「shall」の付加疑問文としての使用についても実際の英語圏では頻繁には使われていません。
「Let's ~, shall we?」という言い方を頻繁に使う人は少数で多少なりとも個性的な印象を受ける表現にはなります。
ネイティブが「shall」の代わりに使う表現
「shall」を使った表現はあまり一般的ではないと解説しましたが、相手に何かを提案したいときにはどんな表現を使えばよいのでしょうか。
「shall」の代わりに現地の人々が好んで使う表現を紹介しておきます。
「shall」の使い方というと主には「一緒に~しませんか?」という「Shall we ~ ?」の使い方と、「私が~しましょうか?」という「Shall I ~ ?」の2通りがありますね。
この2つをそれぞれ別に解説していきたいと思います。
「Shall We」"しませんか?"の代替え表現
ネイティブの使う「shall we」の代替え表現から紹介していきます。
Let's ~(~しよう)
日本人にとっても馴染み深い表現ですね。
拍子抜けした方もいるかもしれませんが「~しませんか?」という意味の表現で最もよく使われているのは「Let's ~」です。
「Let's」は「Let us」の短縮形でこの後に提案したい内容の動詞を置くことで「~しようよ」という誘いの提案になります。
比較的カジュアルな表現ですがビジネスシーンで使っても問題ありません。
Let's go for a drink!
飲みに行こうよ!
Let's get start the meeting.
では会議をはじめましょう。
「shall we{しませんか?}」と比べると随分と直接的な印象を受けるかもしれませんが、親しい相手への誘い方としては最も一般的です。
Would you like to (~しませんか)
「Would you like to ~」はとても丁寧なフレーズです。
初対面の相手や目上の人、ビジネスシーンなどで使っても失礼にはあたらないので状況を選ばずに使うことができます。
Would you like to go out for lunch?
外で昼食でもいかがですか?
「Would you like to」に類似した表現で「Do you want to」があります。
「Do you want to」も「~したい?」というニュアンスで「~するのはどう?」という誘いの提案として使えます。
ただし「Would you like to」と比べるとだいぶカジュアルな印象になります。
Why don't we (~しない?)
「Why don't we ~」も非常によく使われる提案のフレーズです。
直訳すると「どうして~しないんだい?」という意味になりますが実際のニュアンスは日本語訳とは異なり「~しようよ」と積極的に相手を誘う表現となります。
さらに「Why don't we ~」の良いところは「Let's ~」のように非常に積極的に提案しつつも強引過ぎず相手の意見を聞く姿勢が感じられる点です。
Why don't we go to see a movie tonight?
今夜、映画を見に行かない?
How about (~はどう?)
「how about」はとても便利なフレーズで提案以外にも様々な場面で活躍します。
「how about」を使えば簡単に色々な質問をすることができますが、その分カジュアルな印象にはなります。
How about taking a little walk?
ちょっと散歩でもどう?
「how about」はまさに日本語の「どう?」と同じようなニュアンスで使えるため次のような質問もできます。
How about you?
君はどう?
How about tomorrow night?
明日の夜はどう?
How about a drink?
1杯どうだい?
また、提案をする際は「how」を「what」に変えて「what about」としても同じように使うことができるので好みで使い分けましょう。
「Shall I」"しましょうか?"の代替え表現
「Shall I ~(しましょうか?)」の代替え表現としては「Do you want me to ~」と「would you like me to ~」が適切です。
これらはどちらも直訳すると「私に~してほしいですか?」という質問になりますが、実際には「~しましょうか?」という提案の意味で使われています。
両者の意味はほとんど同じですが、「would you like me to ~」を使うとより丁寧な印象を与えることができます。
Do you want me to go with you?
一緒に行こうか?
Would you like me to open the door?
ドアを開けましょうか?
まとめ
英語圏での「shall」の扱われ方の実情と、「shall」と同じような意味を持つ代替のフレーズについて解説しました。
「"shall"はアメリカでもイギリスでもほとんど使われないが人によってはたまに使う」というのが現状でしょう。
ネイティブが「shall」の代わりに使う表現として「しませんか?」という意味では「Let's ~」が最もよく使われます。
そのほか、丁寧な表現である「Would you like to ~」や積極的に提案しつつも強引過ぎず相手の意見を聞く姿勢が感じられる「Why don't we ~」もメジャーな表現です。
「How about」も「~はどう?」という気軽な提案に使えますし、それ以外の簡易な質問をする際にはとても便利な表現です。
「しましょうか?」という意味の代替え表現としては、「Do you want me to ~」と「would you like me to ~」があります。
両者の間では「would you like me to ~」を使う方がより丁寧な印象があります。
このように言語というのは時代や使う人の性格などによって変化するものです。
ですから絶対的な正解はないので相手に伝わるのであればどの表現も正解と言えるのではないでしょうか。
そんな中で自分らしさを出すために表現を工夫するのが私達の個性というものです。
ときには「shall」を使って少し気取った表現をしてみるのも会話の面白みかもしれません。