「よろしくお願いします」を英語で言うには?場面別「宜しく」の英会話表現
2016/12/11
「宜しく」や「よろしくお願いします」という言葉は日常でとても良く使われる表現ですよね。その非常によく使われる言葉ですが、英語で表現することはできますか?
そうです、いざ考えてみると意外と難しいのが「よろしくお願いします」です。今回は身近な言葉であるにも関わらずなかなか表現が難しいと言われる、英語で言う「よろしくお願いします」について解説していきます。
英語で言う「よろしくお願いします」
まずは結論からです。
実は「よろしくお願いします」とう言葉は日本語独特の表現で、英語には直接対応する表現存在しません。
英語でよろしくお願いしますと言いたい場合は状況に合わせてそれぞれ別の表現をする必要があるのです。表現方法としては「よろしくお願いします」の代わりに感謝や喜びを伝えるという場合が多いようです。
例を挙げると
出会った時のよろしくお願いしますは、
Nice to meet you!
頼みごとをした後のよろしくお願いしますは純粋に、
Thank you!
メールなど文章でよく使われるよろしくお願いしますは、
Thank you in advance.
と言うように表現されることが多いのです。
それでは理由や詳細などを順序立てて見ていきましょう。
よろしくお願いしますってどんな言葉?
それではまず日本語の「よろしくお願いします」という言葉について考えていきましょう。
日本人が言う「よろしくお願いします」
皆さんが「よろしくお願いします」という言葉を使うときはどんなときでしょうか?
それは主に以下の様な状況でしょう。
- 初めて出会ったとき(初めまして、よろしくお願いします。)
- 開始の挨拶のとき(会議を始めます、皆さんよろしくお願いします。)
- 頼み事をした後に(では、その件よろしくお願いします。)
- メールなどの文章で形式的に(宜しくお願いいたします。)
- 関係を継続していくとき(これからもよろしくお願いします。)
- 新年の挨拶でなどで(今年もよろしくお願いします。)
- その場に居ない人について(~さんにも宜しくお伝えください。)
このように実に様々なシチュエーションで「よろしくお願いします」が使われていることが分かります。
日本語の「よろしくお願いします」という表現は非常に便利で融通の聞く言葉です。ですから同じ表現でも使う状況によって細かく違ったニュアンスを伝えることができるのです。
言葉や言語にはそれを話す人達の文化や特性が現れるといいます。この「よろしくお願いします」という言葉には、相手が言った一言から相手の心情を察するという日本人独特の思いやりや気遣いか現れているのかもしれません。
しかしその便利さ故に、外国語に翻訳しようと思ったときにはすぐに対応する表現が思いつかず頭を悩ませてしまうものです。
英語の場合もそれぞれ違う状況での「よろしくお願いします」について個別に対応する表現を身に付けていかなければなりません。ですから今回は各シチュエーションごとに「よろしくお願いします」の表現方法とその考え方を解説していくことになります。
「よろしくお願いします」の語源
そもそも「よろしくお願いします」とはどのような言葉でしょうか。普段何気なく使っているこの言葉ですが、実際に意味を聞かれると解答に苦労するかもしれません。
「よろしくお願いします」や「宜しく」、「よろしく頼む」という言葉は相手に何らかの便宜をはかって貰いたいときに使用します。
「よろしく」という言葉の語源は次のように言われています。
よろしくは、形容詞「宜し(よろし)」の連用形である。
「よろし」は「良し(よし)」よりもやや低い評価を表し、「まあいい方だ」「悪くはない」という意味で使われていた。
そこから、承諾の意味として「宜しい」、承諾してもらう時には「宜しく」と使われるようになった。
また、「ご都合の宜しい時に○○」などで使われる「ほどほどに良い」という意味が転じ、よろしくは「適当に」や「うまい具合に」などの意味にも使われるようになった。出典:語源由来辞典(http://gogen-allguide.com/)
このように「よろしくお願いします」は元々、宜しくしてもらう、つまり自分自身を相手に受け入れて欲しいときや、相手を信頼し何かを任せる際にそれを承諾して欲しいときに使用されてきました。
実際に「よろしくお願いします」という言葉には
- 仲良くしてほしい
- 会えて嬉しい
- あなたに任せます
- しっかり頼む
というような気持ちが込められています。
「よろしくお願いします」を直訳すると?
「よろしくお願いします」にはシチュエーションごとに個別の表現方法が必要で直接対応する言葉はないことは既に述べました。
ここでは参考までに「よろしくお願いします」、つまり「宜しくする」という意味の日本語を英語に訳した場合どのような英文になるのかを考えてみましょう。
「よろしくお願いします」を直訳した際に考えられる英文には次のようなものがあります。
- Please be good to me.
- Please accept my offer.
- Please accept me.
- Thank you in advance.
まず上述のように「宜し」というのは程々に「良い」という意味ですので英語でいう「not bad」「good」「nice」と言った表現に近いのではないかと思われます。
これを「宜しくする」という表現にして英語で表すと「Please be good to me.」という表現になりますが、これは日本語の「よろしくお願いします」とは打って変わって、日常的によく使われる表現とは言えません。
また、英語で「私を受け入れて欲しい」や「承諾して欲しい」の意味として「Please accept my offer.」や「Please accept me.」と言ったところで、やはり日本語の「よろしくお願いします」とは程遠いでしょう。
強いて最も近いニュアンを伝えられるものとして「Thank you in advance.」があります。これは「予めお礼申し上げます。」というような意味合いで使われ、何か出来事が起こったり発展することを見越して先にお礼を言うといものです。
つまり、これから頼みごとを聞いてくれる相手や、これから自分に良くしてくれると思われる相手に対して先に感謝を表すという点で、日本語の「よろしくお願いします」と似たような気持ちで使われることも多いでしょう。
しかしながら、あくまで似たような状況で使われることがあるというだけで実際には「よろしくお願いします」は「Thank you in advance.」よりも遥かに広いニュアンスを含んだ言葉であると言えます。
【シーン別】英語で伝える「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」と英語で言いたいときはその状況ごとに違う表現をする必要があることは既に述べました。
ではここからは具体的なシーンごとに英語ではどのように表現することができるのかを見ていきましょう。
初めて出会ったときの「よろしくお願いします」
初めて会った初対面の人に「初めまして、よろしくお願いします。」というのは日本語では定番の挨拶ですね。この最もよく使われる「よろしくお願いします」英語で表現すると次のようになります。
英語で初対面のシーンを見てみましょう。
Hello! My name is Ryan. Nice to meet you.
(初めまして、僕はライアンです。どうぞよろしく。)
Hello! I'm Lisa. Nice to meet you too.
(初めまして、リサです。こちらこそよろしく。)
というような会話をよく耳にしますね。この「Nice to meet you.」が日本語で言う「よろしくお願いします」に当たります。
直訳すると「あなたに会えて良かった」に近い意味になりますが、「これからよろしくお願いします」という気持ちを込めて話されることから日本語の「よろしくお願いします」と同じ状況で使われていると言えます。
その他、類似の表現として
(I'm) glad to meet you.
や、非常に丁寧な表現として
It’s a pleasure to meet you.
という言い方も可能です。
仕事で初顔合わせの「よろしくお願いします」
仕事で同じチームになったときや、プロジェクトの開始の際、新しい取引先との最初の挨拶の際などは「これからよろしくお願いします」というような挨拶をします。
この表現を英語で表すと
I'm looking forward to working with you.(あなたと働くのが楽しみです。)
I look forward to doing business with you.(あなたと一緒に仕事をするのが楽しみです。)
というように喜びを表現したり、
Let's both do our best.(お互いに頑張っていきましょう。)
というように相手を励ます言葉を掛けるのが英語では一般的です。
「I'm looking forward to working with you.」のような表現はビジネスの場で耳にするとても一般的な表現です。同僚から取引先まで幅広い相手に対して使用することができます。
「よろしくお願いします」という言葉が存在しなくても共に働くことを待ち望む気持ちや頑張りたいという気持ちは同じように表現の中に表れています。
「look forward to」を使う際は後ろに続く「work」や「do」などの動詞が「-ing」型になることにも注意しましょう。
「look forward to」の使い方の記事
何かを開始する際の「よろしくお願いします」
では次に、これから会議を始めるというときに言う「よろしくお願いします」や、
プレゼンテーションなどを行う際の開始時に言う「よろしくお願いします」
の英語表現を見ていきましょう。
このような場合は会議や打ち合わせのために時間を作ってくれた相手や、プレゼンテーションなどに出席してくれた相手対して感謝を表明するという表現になります。
Thank you for coming.(来てくれてありがとう。)
Thank you for taking the time for me.(お時間を取っていただきありがとうございます。)
I appreciate your coming to see us.(お越しいただき感謝します。)
I appreciate you taking the time.(お時間を作っていただき感謝します。)
少し話題はそれますが「appreciate (you or your) doing」という表現は細かく言うと感謝する際、どの対象に重点を置くかに違いがでます。
「you doing」とすると「来てくれたあなた」に
「your doing」とすると「来てくれたこと」に
感謝するという微妙なニュアンスの違いがありますがそれほど気にする必要はないでしょう。
appreciate you doingとyour doingの違い
また、会議やミーティングに呼ばれた側であれば
Thank you for inviting me.
と言うことができます。
頼み事をした後に言う「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」という表現には初対面や開始時の挨拶以外にも何か頼みごとをした際に相手が引き受けてくれた後に言う「頼んだよ、よろしく!」や「ではよろしくお願いします。」という表現方法がありますね。この表現も英語で見ていきましょう。
頼み事をした最後に言う「宜しく」という表現は英語で言うと
Thank you!
が最も近いでしょう。ここでも引き受けてくれたことに対して感謝を表すという表現になります。
もう少し丁寧に言うと、
Thank you for doing it.
Thank you for undertaking.
Thank you for taking care of it.
というように言うことができます。
引き受けてくれた相手に素直に「ありがとう!」という表現は実に英語らしい直接的な表現ですね。
メールでよく使われる「よろしくお願いします」
ビジネスのやり取りに使われるメールでも「よろしくお願いします」という表現は頻出します。
むしろ仕事に関係するメールの場合、「よろしくお願いします」が一度も使われていないことの方が稀だと言っていいでしょう。
ビジネスメールで特に目にすることが多い
Thank you in advance.
という表現があります。
これは直訳すると「予めお礼を申し上げます。」というような意味になり、これから発展する事柄を見越して「よろしくお願いします」と言うのと同じ表現です。
メールで何か頼み事をしたときや何かしらの対応を相手にお願いする際によく使われる表現です。
また、メールや手紙などの文章においてはもう1つ定番の形式的な表現があります。
Sincerely.
これは「心から、本当に」という意味の副詞ですが、主文の後に書かれる結びの言葉になります。
メールや手紙ではこれが文章の最後に置かれる決まり文句です。
その場に居ない人への「よろしくお願いします」
相手の家族やチームの他のメンバーや上司など、今回は会うことができなかった人について「ご家族にも宜しくお伝えください。」や「~さんにも宜しくお伝えください。」と言うことがあります。この表現も「よろしくお願いします」からの派生ですから英語での表現方法を見ていきましょう。
Please tell [人物] I said hello.
Please say hello to [人物].
Please give my best regards to [人物].
この3つの表現は全て「~[人物]に宜しくお伝えください」という意味で使われますが、「tell」を使ったものが最もカジュアルに聞こえ「give my best regards」を使うととてもフォーマルな印象になります。
ですから、ビジネスシーンで「何卒、~さんにも宜しくお伝えください。」と丁寧なニュアンスを出したい場合に使うと良いでしょう。
英語で「今年もよろしくお願いします」
新年の挨拶ではお決まりの表現に「今年もよろしくお願いします。」というものがあります。英語ではどのように言えばいいのでしょうか?
実は英語圏の人々は「今年もよろしくお願いします。」とは言う習慣はありません。
しかし皆さんもよくご存知の日本語の「明けましておめでとうございます」に相当する「Happy New Year.」という言葉がありますね。
まとめ
「よろしく」や「よろしくお願いします」という表現は日本語独特の表現で、同じ言い回しは英語には存在しません。
日本語の会話の中で「よろしくお願いします」という言葉がどのような状況で使われるかという観点で見ると、実に様々な状況で使われていることが分かります。
「よろしくお願いします」は様々な場面で使うことができる非常に便利な表現方法で、この便利さ故に英語で直接表現することが困難です。
使われ方を整理して見ると主には相手に感謝を表す場合や喜びを表す場合が多いことが分かります。
英語での「よろしくお願いします」の表現はシチュエーション別にそれぞれ別の言葉で表現する必要があります。
とは言っても今回紹介したシーン別の表現を全て覚える必要はありません。
そのときどきで相手に対する喜びや感謝の気持ちがあればそれを素直に表せばよいのです。
言葉というのは英語も日本語も同じで自分の気持ちを伝えるためのものですから、難しく考えすぎず自分の考えを素直に表現することで自然と会話が成立するのです。